タッチパネルの仕組み
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透明導電膜
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導電性の透過膜を用いたタッチパネルには、抵抗膜方式や静電容量方式などがあります。
導電膜や蒸着素材は透明といっても、光の減衰(透過率低下)があり、その分暗くなり、また特定波長の光の吸収や反射がありますが、近年では改良が進み、透過率もかなり改善されました。
(光学フィルター的に、青紫色などが吸収されてしまうため、黄色っぽくなります。)
また、導電性の透過膜の大きな弱点として、繰り返してタッチによることにより、蒸着や塗布された導電面の劣化が発生するため、それが機器寿命につながります。
これらについても素材など研究がされ、現在の製品では実用上ほとんど問題ないレベルとなっています。
透明電導膜をスイッチ電極として使用したタッチパネルは、抵抗膜方式と呼ばれています。
例としては、シート状に短冊状に電極を配線し、それを90度曲げた形で、電極面を向かい合わせるとマトリクス上のスイッチと同じ形状になります。
押されていない電極個所が接触しないように、シート全体の隙間に小さなスペーサを入れて重ね合わすことで、タッチパネルができます。
画面に表示されたボタンなどを、指でタッチするなど、大きなブロックでの入力などで使用できます。
この方式では、短冊の重なる升目の大きさの、大きなブロックでしかタッチ検出ができません。
かといって、短冊の幅を細かくすると、入力を判断するコントローラの信号線の数が増えて、現実的に配線やコントローラ側の対応が難しくなります。
ITOなどで生成される透明電極膜は電気的抵抗を持っています。
抵抗膜方式と呼ばれるものは、透明電極膜の抵抗値を利用してタッチした位置を検出します。
参考 現在利用されている抵抗膜は300Ω〜500Ω/sq (スケア)程度の抵抗値が多いようです。
Ω/sqは正方形上での抵抗値です。
ちなみに長さが倍になった場合、抵抗値は2倍、幅が倍になった場合、抵抗値は1/2になります。
したがって、正方形での抵抗値としては、Ω/sqが一定の場合、どのような大きさの正方形でも同じ抵抗値となります。この抵抗膜両端の導通部分に電圧をかけ、テスター棒で抵抗膜面上の電圧を測ってみます。
仮に5V の電圧をかけた場合、一番下は0V、一番上は5Vとなります。
また、横の位置は、水平線上はどこを測っても同じ電圧となります。
測った上下位置の比率と、抵抗値の比率は同じになります。
また、温度や湿度で抵抗値が変化しても、上側と下側の電圧比を求めているので、面全体での変化に対しては正しい位置を割り出すことができます。
この図で縦の位置を求めることは分かりましたが、このタッチする位置を求めるのテスター棒の替わりを、もう一方の抵抗膜を用います。
スイッチ回路で、電圧側と計測側を入れ替えることで2Dの位置検出を行うことができます。
これはセンサ線を4本使用して動作するので、4線式抵抗膜と呼ばれている方法です。
抵抗膜での測定に際して、テスター棒に相当する側の抵抗膜の抵抗成分が気になるかもしれません。
しかし、等価回路図を見てもらえば解かるように、電圧測定回路の入力インピーダンスが十分に高い場合、RhlとRhrの抵抗値は無視することができます。
抵抗膜の電圧の与え方を変え、1面の抵抗膜側に電圧を与え、もう1面の抵抗膜により全面でその電圧を検出とします。(原理図)
図ではわかりやすいようにテスター棒で記述していますが、全方向が接続された状態のもう1面の抵抗膜が重なります。
電圧のかけ方を縦横交互に切り替え測定することで、同様に2D位置検出が可能となります。
この場合、信号線として電圧をかける抵抗膜面に4本、位置検出側に1本の5本の信号で位置検出を行う5線式の抵抗膜タッチパネルとなります。
実際には抵抗膜が均一といっても、抵抗値(膜厚)にはある程度ムラがあるため、抵抗膜周囲やソフトウェアによる補正により直線性の調整を行っています。
一般の人が接する直流の低い電圧の世界では、金属など電気を流すことができる導体通しが触れ合わないと、電気は流れません。
しかし、高電圧や交流においては金属通しが直接触れ合わなくとも電気が流れます。高電圧では、雷や静電気などがよい例でしょう。
※静電容量は静電ってつきますが、静電気とは関係ありません。また、交流では周波数が高くなると、向き合った電極で電気が流れます。
向き合った電極の面積が大きいほど、また距離が近いほど流れやすくなります。これは静電容量という考え方で、キャパシタ/コンデンサという部品がこれを利用した電子部品で、ほとんどの電子回路で利用されています。
コンデンサは、向かい合った2つの電極の間に誘電体という材料をいれ、この誘電体の種類、電極の面積、距離により容量が異なります。
※空気や人体も誘電体です。静電容量スイッチとよばれるものは、この静電容量という性質を使ったものですが、1つの方式ではなく、いろいろな方式が考えられています。
静電容量スイッチでは、タッチするセンサ電極はフィルムやコーティング層、ケースなどの内側にあり、一般的に電極自体は露出していません。
直接電極に触れなくとも信号を検知できるために、電極等の劣化が非常に少ないため、一般的に高寿命であるといえます。タッチ検出には、人体は誘電体なので、指がタッチPADに近づく/タッチすることで起こる現象を検出して利用します。
数百KHzの低い電圧の交流をタッチPADに印加し、PADにタッチすると人体を通して微弱な電流が流れます。(グランドをループした漏れ電流)別な方法では、タッチPADにパルス電圧を与え、タッチした際の容量が変化を利用し、パルス波形の変化(信号立ち上がりの遅れ)をとらえることでタッチ検出します。
ガラスやアクリルなどの裏側からでも、非接触で検出ができますが、細かいタッチ位置を検出することは難しいです。
この方式は以前本ページでは静電センサとして取り上げていた方式ですが、タッチパネルとして実用期となり、投影型静電容量方式 と呼ばれるようになってきました。
投影型/Projected Typeというのは、(どなたが付けたか名前か知りませんが、)名称から技術的要素が全く伝わってこないので、あまり良い名付けとは思えませんね。
パターン型静電容量式とか、セル型静電容量式みたいなほうがよいのではないかと思います。
(2009/09/30)
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抵抗膜方式で説明したマトリクス状の導電パターンを用いた静電容量方式を用いたスイッチの場合、電極面をタッチすることを検出できます。
投影型静電容量方式と呼ばれている方式がこれに当たります。
静電容量スイッチの場合、タッチパネル表面の電荷変化により タッチを検出します。
投影型の場合、タッチスイッチ的に動作するために、タッチ面に電極PADがなるべく均等に露出し、重なりがでないようにPADパターンを作成します。例では、四角いパターンをITOにより透明電極PADとして並べてみました。
指より小さく電極PAD面の重なりを設計することで、マトリクス上の近接した2個所以上の電極PADをタッチさせることができます。
※近年の透過膜の性能は高くなっているようで、携帯電話用の透過型静電容量タッチパッドを実際に透かして見ましたが、透明電極パターンはほとんどわかりませんでした。
この図は動作説明のための例ですが、緑で説明しているパターンは横に串刺し(電気的に接続)されているために、横のどれかをタッチするとこの横1行がタッチされたことが分かります。
同様に赤パターンは縦に串刺しされていますので、縦1列のどこをタッチしても同じ位置検出となります。
どのX列、Y列が押されたが検出できれば、行列交点が押された点であるので、これにより、押された位置が分かります。
また、マトリクススイッチは、2点までのタッチであれば、押された位置を判別することができます。
これにより、ジェスチャ操作などマルチタッチを実現することができます。デジタル的に分離された電極PADですが、検知レベルをアナログレベルで比較計算することで、PADカラム数以上の中間的な位置もおおよそ知ることができます。
また、例では2面のシートで説明していますが、抵抗膜方式のように電気接点として考える必要がないために、両面もしくは、コーティングなどで絶縁層を作製することで多層構造によるパターンを作ることも可能です。ただし、PAD面積が小さくなると、1PADの容量が小さくなり、配線に比べ1PADの静電容量を十分に確保できないため、小さなPADの実現は難しくなります。
また、浮遊PADはノイズなどの影響も出やすくなるので、タイミング的に検出を行っていないPADはGNDに接続する回路を設けるなどの考慮が必要です。
また、検出ラインごとに配線パターンが必要なので、非常に数の多いPADをもったタッチパネルは、配線数が増大するためやはり作成することは難しくなります。
検出PADを増やすためには、タッチパネル フィルム上にコントローラやスイッチング回路または遅延構造を設ける必要があります。
静電容量センサの電極として、非常に細い電線を透明素材上に格子状に並べる方法もあります。
しかし、ITOなどを用いエッチングや印刷法で対応できる透明電極方式が量産性が高く実用化されています。Taitronics2009で投影型静電容量式のマルチタッチタイプの中型タッチパネルの展示を確認しました。(2009/10/09)
技術解説・図:高久直也
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