DTPで作成したバーコードをQC890で検証する
DTPでのバーコード版下作成の検査用にも最適

流通商品のパッケージなどでバーコードシンボルを印刷する場合、以前はバーコード専用の精度の高いフィルムによる版下を用いてきました 。
近年ではイラストレータなどPCを用いたDTPソフトにより、簡単に印刷原稿や版下の作成ができるようになっています。

DTPでバーコードを含んだ版下作成を行う場合、多くの店舗等に流通する商品 では、自分が作製したバーコードがさまざまなコンディションのバーコードスキャナで読まれることが考えられます。
マージンが低いバーコードスキャナで、品質の悪いバーコードシンボルの読み取り時を行うと、エラーが発生します。
流通商品でバーコードシンボルを用いる場合、高い品質のバーコードシンボルを作成することがポイントとなります。

あらかじめISO/JISなど規格で定められた検証方法で検査を行うことにより、安心してお客様へバーコードをご使用いただくことができます。

DTPによるバーコード版下作成

下記の例はテクノベインズ社内にてDTPソフト CorelDrawを用いて出力したバーコード例です。
このテストでは、レーザープリンタにより出力したものです。

   

左は標準設定のまま生成したバーコード。 右はプリンタ解像度に調整して生成したバーコードです。肉眼での見た目はほとんど同じであると思います。

しかし実際にレーザープリンタで印刷したものを検証機をかけると、右の調整したものはA - 4.00と 最高品質を示すのに対して、標準設定のまま生成したシンボルはB - 3.00とグレードがかなり低くなります。

 

概要:
ISOテスト 合格
従来のテスト 合格
 
概要:
ISOテスト 合格
従来のテスト 合格
 
バーコード判定としてはどちらも合格が出ています。

 

概要:
シンボルグレード B - 3.00 / 06 / 660
スキャングレード B/3
 
概要:
シンボルグレード A - 4.00 / 06 / 660
スキャングレード A/4
 
しかし、グレード判定ではかなりの差があることがわかります。

 

寸法グレード:
デコーダビリティ 57% B
平均バー幅の増加 -0.002X OK
 
寸法グレード:
デコーダビリティ 64% A
平均バー幅の増加 +0.007X OK
 
検証の詳細数値結果では、左のバーコードではデコーダビリティ 57% B が原因でグレードを下げていることを示しています。
デコーダビリティの値により、以下のようにグレードが決定します。
デコーダビリティ グレード
≧0.62 A
≧0.50 B
≧0.37 C
≧0.25 D
<0.25 F [Fail]

シンボル中のバーやスペースの線幅に太りや細りなどのぶれがあると、デコーダビリティのグレードを下げる原因となります。
 

 
   
 
   

QC890による検査報告書

 

QC890による検査報告書

 

検証結果の1つである各バーの太さの平均を求めたグラフを見ると、一番細い隙間(白バー)のぶれが大きくなっている場所があること示しています。



バー幅比較のために、調整(上下方向を圧縮)したバーコードを、センターバー中心で重ねてみました。
どちらの設定も寸法的には標準のバーコードを生成したはずですが、実際に生成されたビットマップの生成寸法が異なっています。
なにも調整しないと、印刷解像度と合っていないため、計算上のまるめ誤差などにより印刷位置が微妙にずれてしまっているようです。

 

印刷の品質

検証機では、直線上の光の反射レベルをもとに数値解析が行われます。

数値報告は非常に重要な要素ではありますが、それだけで全てを判断すると見逃される点もあります。

以下は、テクノベインズ検証サービスで用いる拡大イメージによる評価写真です。
約200倍と顕微鏡レベルまでバーコード印刷像を拡大することで、肉眼では確認できない問題点も、はっきりと確認することができます。

レーザー
プリンタ


x60での拡大表示

 


さらに拡大(x200)すると、細かい点(トナー粉)が観察できる。

レーザープリンタの場合、非常にトナー(小さなプラスチック粉)を感光体で転写し、熱で溶かして紙に定着させています。
そのために見えない細かなトナー粉が白い部分にも付着します。 x200まで拡大することで、トナー粉も確認ができます。
       
インクジェット
プリンタ
 
用紙に液体インクが浸透するために、印刷した用紙の種類によって、品質は大きく異なります。
この例は、写真画質で印刷できる高級用紙なので、にじみは小さいです が、カラーインクの射出による印刷のため、カラードットが確認できます。
       
印刷  
       
印刷  
       
印刷  
 
一口に印刷と言っても、いろいろな印刷方式があります。
バーコードスキャナが見ているミクロの世界では、印刷方式や印刷条件、インク、用紙材質、用紙の表面処理などにより、
その状態はいろいろ変わりますので、それぞれチェックする必要があります。

DTPでの版下作成は便利ですが、バーコード生成オブジェクトが生成したビットマップを 、あとから拡大や縮小したりすると、大きく品質が低下します。
また、バーコードフィルムマスターであっても、デジタル的にスキャンや製版されたデータを拡大縮小すると、同様に大きく品質低下を起こす原因となります。
いくつもの条件により、バーコード品質は変化します。実際の印刷やインク・用紙の特性によって光の反射状態やインクのにじみも異なります。
これらは微妙なものが多いので、肉眼での良否判断は非常に難しいと思われます。

印刷工程や流通での汚濁など、あとの工程による品質劣化もありますから、印刷の元となる版下のバーコードは、なるべく高いグレードで作製する必要があります。
そのためバーコードを含んだ流通商品パッケージをDTPで作成する場合、QC890などバーコード検証機で、あらかじめバーコードの品質を検証されることを是非お勧めいたします。



Last Update : 2011/09/09

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