タッチパネルLCD ET1515L 手袋によるタッチ評価


タッチパネルはレジや厨房、医療、出荷現場、受付案内などキーボードが使用できない場所や、たくさんのメニュー ボタンから選択を行うアプリケーションに重宝します。

比較的見落とされやすい項目として、指以外でタッチした場合の性能があります。
タッチパネルを使用したい場所によっては、ビニール手袋やゴム手袋、軍手をしたままの操作や、食品や油を扱う現場では防滴やパンくずなど防塵の対策として透明シートをLCD表面にかけたり されることを見かけます。

また、操作される方が不特定な公共スペースの案内や操作で用いるタッチディスプレイでは、いろいろな条件で入力ができないと、操作ができません。

これまでの超音波タッチパネルでは、手袋をはめての操作は難しいとされてきましたが、ET1515Lではタッチ可能と いうメーカー発表がありますので、手袋やその他発生しそうな状態について、テクノベインズ社内にて実際に評価を行ってみました。

下記評価内容につきましては、あくまでテクノベインズ独自の判断と基準による社内評価結果であり、メーカー公表の正式なデータ等とは異なりますので、ご参考程度にご覧ください。

 

評価内容

テストは、Windowsのデスクトップ画面状態で、実際に各種素材を通してタッチして確認しました。
デスクトップの何ポイントかを押してみて、カーソルの移動について反応を確かめました。
タッチの反応については、あくまで測定者の主観的なものとなっています。
タッチの強さについては、正確な測定装置を持っていないため、目安程度でありますが、同じくらいのタッチ感触をデジタルスケールで計ってみ ました。

指先で画面を軽くタッチしたつもりでも、スケールで計ってみると50グラム〜100グラム程度の力がかかっていることがわかりました。
空中に手を浮かて行うタッチ動作は、思ったより強い力で押しているようです。

下記の文章の表現では、素手の指でタッチとの比較した感覚的なもので書かれており、これはスケールで計ると以下の質量と近いものがあります。

少し強めといった場合、200グラム程度
強めと言った場合、300グラム以上
かなり強めと言った場合、500グラム以上

実際にどれくらいの感じか知りたい場合、お手持ちのスケールを押してみてください。少しは感覚がわかる...かもしれません。

 

薄手の作業手袋(綿)

軽作業や工場などの作業で用いる、木綿の薄手の作業手袋です。

素手よりは、少しはタッチ反応は悪いようなので、少し強めに押したほうが反応はよいようです。

 

軍手

倉庫や入出荷、作業現場、工場でのタッチ環境としての手袋テストです。

片面に滑り止めのゴムイボがついた軍手の、ゴムが無い面(厚手の綿)でテストしました。
(写真は手袋のゴムイボ面が裏側になっています)
ところどころ、タッチがうまくいかない場合があり、強めに押す必要がある場合があります。
また入りにくい場合は、いったん手を離して何度が強めに押すと入りました。
入らないことは無いのですが、 感覚的にすこし入りづらいように感じます。
厚手の毛糸の手袋などは、これに近いと考えられます。

 

軍手(滑り止めのゴムイボ面)

倉庫や入出荷、作業現場、工場でのタッチ環境としての手袋テストです。

タッチ良好です。軽いタッチで入ります。
(写真は手袋のゴムイボ面が表側になっています)
軍手のイボイボ軟質ゴムは、超音波タッチパネルとは相性がよいようです。
作業用ゴム手袋や滑り止め付き手袋 、全面や半面にゴムがコーティングされた手袋などでの作業はこれに準じると考えられます。

 

ゴムの指サック

経理などで使用するゴムの指サック、食品工場で用いる炊事や水仕事用のゴム手袋、医療用の手袋などのテストです。

タッチ良好です。軽いタッチで入ります。
軟質ゴムは超音波タッチパネルと相性がよいようです。
お札を数えながらでもタッチできそうですね。
食品工場の工程管理や品質や衛生管理、病院内など、ゴム手袋をした状態での入力端末として利用できそうです。
 

爪先

店舗やパブリックスペースでの端末など、長い爪やタッチネイル(付け爪)を使用されている方が操作する場合の想定です。


長い爪や、付け爪などでの爪先入力には、反応しません。
今回の測定者はかなり短い爪先ですが、爪では、かなり強く押しても反応はありません。

女性向けの商品販売店舗などで長い爪や付け爪の販売員の方がいらっしゃる場合、
爪を傷つけないために専用ペンやゴム材など補助具を準備しておき、タッチされるのがよいと思います。

 

以下はタッチパネル表面側にシートをかけた場合のテストです。

 

食品ラップ

飲食関係で水濡れ防止のためや、工場などで油汚れ防止のためにタッチLCD表面をラップされている事を見かけます。

食品ラップ(サランラップ、クレラップなど)程度ではタッチに影響はまったく無く、良好です。軽いタッチで入ります。

重なった場合を調べるために、16枚に折りたたんでみましたが、これくらいではまったく影響ありません。
この原材料名はポリ塩化ビニリデンとなっています。

 

ポリ袋

透明なカバーとして用いられる際、身近でも簡単に手に入る素材として、ポリエチレンの袋を調べてみました。

今回のテストでは、かなり分厚いシートの代替として、1袋のポリ袋のままタッチテストを行いました。
厚みを得るために、新品のポリ袋状態で、50枚の袋が重ねった状態で、さらに外袋に入っています。
袋ということは、ポリエチレンシートで換算すると100枚です。(外袋は分は、とりあえず無視しています。)
デジタルノギスで実厚を計ると、袋の状態で5.85mmあるので、シート1枚の厚みは袋表面の印刷にあるように、およそ 5.85mm/100≒0.06mmでした。

1枚シートでここまで厚いものを使用した場合、素材の表面が今回のように柔軟に反応はしないと思いますので、 ポイントのセンスは難しいと想像されます。
しかし、結果として、ちょっと強めのタッチは必要ですが、タッチは行えました。
100枚ものシートにより透明度はまったくなく、単純に厚みからNGと思われたので、これは完全に予想外でした。
(実験的には、重ねて2倍の厚さの1cm超えでも入力が確認できました。3つ重ねでは、さすがにタッチした位置が完全にずれました。)

薄いシートが重なっていますが、中のシートは滑りがよく、自由に動けるために、タッチした部位のそりが しなやかに反対側に伝わったためと考えられます。
また、柔らかく厚い樹脂の場合、それ自体がタッチ面に触れることで、タッチとして誤検出されてしまうおそれがあるので、その場合はパネル面に接触しないようにする工夫が必要です。
(今回の重ねたポリ袋の場合、重ねた袋がタッチパネル表面に触れていても、袋の上から指でタッチしない限りは、タッチの誤検出は発生しませんでした。)
 

コピー用紙

透明な素材ではありませんが、紙も調べて見ました。印刷したテンプレートなどを貼り付けた場合の想定です。

フィルム系がOKなのでコピー用紙くらいは平気だろうと思ったのですが...紙を介した反応はあまりよくないです。
1枚でも、少し強めのタッチが必要で、3枚程度ですと、それなりに強めに押す必要があります。
見た目以上に紙は硬く、超音波の表面波振動を吸収しない材質のようです。

 

評価総括

超音波表面弾性波方式のタッチパネルでは、超音波振動を吸収できる素材は当然よい結果が出ていますが、このタッチパネルでは手袋なども実用域に入っています。
これは推測ですが、このタッチパネルはZ軸としてアナログ値で超音波の検出出力がされているので、ある程度レベルが変動することでもタッチ検出が可能なためと考えられます。

以前行った超音波方式の評価(他機種)の際、実際の現場において、手袋入力ができないのが一番の弱点だと思われましたので、これが解決したこのタッチパネルは非常にお勧めできる製品と思います。

今回は、季節的に厚手の毛糸の手袋と皮手袋の準備が間に合わず、評価できなかったのはちょっと残念です。
他の結果から推測すると、毛糸は軍手に近いものになると思います。また、皮は超音波吸収は高そうなのでOKなのではないでしょうか?

また、評価のように、透明シートの上からのタッチ感度も良好です。パネル表面に水滴が飛ぶと、誤センスされるので、食品加工など水に濡れた手でタッチする必要がある場合、透明シートをタッチ面から少し浮かせて張っておくとよいかもしれません。

また、タッチ可能な素材をいくつかテストした結果、予想通り、硬質系の木材や竹、アクリルや硬いプラスチックなどの材質にはまったく反応がありませんでした。
樹脂では、硬質系と軟質系では違いがあるようです。

余談ですが、透明な軟質樹脂(ゴム系)でタッチ反応が良好な材質があり、小さな力で触れただけでも良好なタッチの反応が得られました。
これら素材を軸先につけた専用のタッチペンを作成すれば、小さな力でタッチ操作ができそうです ので、アクセシビリティの入力装置の1つとして活用できるものと考えられます。
スクリーン上に大きなボタンをタッチターゲットとして表示することで、キーボードや手でタッチ入力することが困難な方でも利用が可能と考えられます。
 

参考:

 

評価:テクノベインズ社内 2007年7月23日実施

Last Update : 2011/09/09

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